福岡県福岡市中央区
「博多東洋ショー」
福岡の中心地、「天神」にデーンとそびえたつ三越のビル。
西鉄の「天神・福岡駅」と福岡バスセンターの入る大きな複合ビルです。
その隣接地、電車の高架下には「ビックカメラ」があります。
この場所には、その昔「博多東洋ショー」の大看板がありました。
縦、横数メートルはあろうかという、その大きな看板には
毎週過激で悩ましいキャッチコピーや興行宣伝が
黒字に蛍光色で書かれていました。
「残酷!!本場・関西SMショー」とか「過激・白黒ステージ」とか
ロウソクが溶け滴るようなかたちで、ダイナミックに書かれた文字を思い出します。
博多東洋ショーは、その看板横の路地を入り電車の線路沿いに進むと
高架と路地に挟まれた三角地帯にまるでショートケーキのような
薄っぺらい形のビルで存在していました。
電車の車内から劇場の楽屋(?)の窓が見え、そこに色々な洗濯物や
布団が干してあったりする光景がいつも見えて、それが妙に艶かしく
気になったのを覚えています。
小屋は三角の頂点にあたる部分がテケツで、その奥に延びる細長い通路を
進み階段を上がった2階が場内でした。
その中は3階へ吹き抜けた高い天井で、その3階の高い位置に投光室があり
おそらくは、かつて映画館であったろうと思われる作りでした。
開演テープが秀逸で、何故か演歌風に蒸気機関車の汽笛一声から始まるのです。
まさか「発車オーライ!!」というわけでは無いでしょうが(笑)
この劇場は企画モノが得意な小屋だった印象が強いです。
SM、白黒、天板など・・・すべてこの場所が私の初体験場所だったと思います。
中でも白黒ショーの、華麗でアクロバティクな演技には息を呑みました。
男女ペアの、ぴたりと息の合った無駄の無い動きと躍動美は
芸術的パフォーマンスといってもおかしくない完成度だと思いました。
ただ最初にも述べたように、高架線路沿いに位置していたため
電車の騒音がひどくて、ベッドショーなどで盛り上がってきた場面で
「ドガガン!ガガン!ドガガン!ガガン!ガガン!!!」と電車の通過する音が
ムードをぶち壊す事もしばしばでした。
そんな思い出多い博多東洋ショーは、新西鉄福岡駅の建設に伴う
高架線路の移設と区画整理にともない姿を消してしまいました。
かつて劇場のあったあたりには、新しい線路と新駅3階に新設された
バスセンターへの取り付け道路やビジネスホテルが建ち
かつての面影を残すものは何一つ残ってはいません。
唯一、高架を走る電車の音だけが今も昔同様に響いています。